人の移動があるところ、どこにでも宿泊施設の必要があります。
紀元前のシルクロードにも、馬小屋つきの宿泊所がありました。
今で言えば「駐車場完備」といったところ。
宿泊所としてのホテルの起源は人類の移動とともにあった、といっていいでしょう。
しかし、今のホテルのルーツとなるとその原型の起源はもう少し後になります。
ホテルという呼称の起源については諸説があります。
11世紀ごろ、ヨーロッパを巡礼する旅人が、スイスの峠を越えるとき、疲れ果てて修道院の
扉をたたき、修道院が温かく旅人を受入れたことからホスピスと呼ばれる旅籠が出現した、という説が
有力です。
当時のスイスはヨーロッパの十字路ともいわれ、古代ローマの時代から、交通の要所となってきました。
険しい峠道をたどる人々にとって、ホスピスの存在は生命線ともいえたでしょう。
「ホスピス」という言葉自体はラテン語で、もともとの意味は「旅人」「客」、あるいは客をもてなす
「主人」を意味したといいます。
それがフランス語で「ホステル(hostel)に変化、最終的にはsがとれて英語の「hotel」に落ち着いたという
わけです。 とはいっても、ホスピスから派生した「ホスピタリティ」という「もてなし」を意味する言葉は
健在で、すべてのホテル関係者のサービス精神の基礎になっているのは周知のとおりです。
このホスピタリティの精神、実は現在でもホテルのグレードを計る際の大きなポイントになっています。